KBCシネマ

コラム

鑑賞記 シネマスタッフの鑑賞記 第七回「テアトル・クラシックスAct.2ポール・ニューマン特集」2.『明日に向かって撃て!』


「左ききの拳銃」、「ハッド」、「太陽の中の対決」、「ロイ・ビーン」、「ポケットマネー」と長いキャリアの中で多くの西部劇映画に出演しているポール・ニューマンですが、やはり彼の西部劇映画と言えば本作でしょう。


手下に決闘を申し込まれ不意打ちで叩きのめすダーティーな悪党でありながらも、やはりあの憎めない笑顔で観客の心を掴んでしまうブッチ・キャシディと、射撃の名手だが短気でかなずちという抜け具合がかわいらしいサンダンス・キッド。


伝説的なアウトローコンビの映像と共に流れるオープニングクレジットはどこか走馬灯のような死の匂いと物悲しさが漂っていて、これから辿る二人の行く末に哀愁を感じずにはいられません。


ニューシネマらしい反体制と刹那的な生き方の二人には判官贔屓と憧れを掻き立てられずにはいられませんし、瞬間瞬間の非凡な輝きは常人の人生には決してないギラギラがありますが、反面、弛緩した日常の退屈さを受け入れる事でしか得られない落ち着いた幸福を決して手に出来ないという悲劇性故の輝きであるのも真実なので、こうして銀幕の中で楽しむ程度が理想なのかも知れません・・・。


中盤以降、舞台がボリビアに移ってからは、短くド派手に輝く人生の裏側にある、社会への馴染めなさのような物が切なく響いて来ます。根っからのアウトローとして人生を歩んで来た二人が一度は職に就いてはみるものの、因果応報と言うべきか現地の山賊に襲われて台無しになってしまうシーンはコミカ
ルでもあり、そこはかとなく悲しい諦念の漂うシーンでもありました。


クライマックス、銃撃戦の最中で死を覚悟した二人が語る未来の夢想。その切なさは正にアメリカン・ニューシネマを代表する屈指の名シーンであると思います。
死が目前に迫っていても明日について語り、勇猛と突進して行く姿はアメリカンドリーム亡き後の世代が背負った悲哀を吹き飛ばすエネルギーに満ちていて、現代を生きる私をも勇気付けてくれる反骨の象徴として深く心に刻まれています。


個人的な思い出ですが初めて本作を鑑賞した当時、私は19歳で”おトガり”真っ最中の時期だったので、現実に追い立てられる二人の姿に周囲から大人になれと迫られていた自分の姿を重ねて、「つまらない大人になるくらいなら、太く短く生きてやるのだ!」などと息巻いて似合わないハットをかぶっていたものです。

とは言え、根が小心者なのでワルのワの字もない単なる大人こどもでしか無かった訳ですが(笑)


それなりに大人の年齢になった今、改めて本作を鑑賞すると哀愁の匂いが大きく増して見えて、自分の人間的成長や変化で映画の見え方も変わってくるのだなと新しい発見があった映画体験でした。

THEATER INFORMATION 詳細はこちら

劇場所在地

KBCシネマ1・2

  • 〒810‐0071 福岡市中央区那の津1‐3‐21
  • TEL.092-751-4268
  • FAX.092-712-8229
  • ※12/31及び1/1は休館いたします。
  • ※開館時間はスケジュールにより異なります。
  • ※開館からレイトショー上映開始まで、スタッフが電話対応致します。劇場の受付が混雑している際は、お電話が自動音声案内に切り替わる場合がございます。何卒ご了承くださいませ。
アクセス情報
  • 西鉄バス「那の津口(ボートレース福岡入口)」徒歩 約2分
  • 市営地下鉄「天神」徒歩 約10分
  • 西鉄大牟田線「福岡(天神)」徒歩 約15分
  • イオンショッパーズ福岡店 徒歩 約5分
googlemap
料金
対象(※特別興行、一部作品を除く) 料金
一般(大人) ¥2,000
大学・高校生(要学生証) ¥1,200
中・小学生(中学は要学生証) ¥1,000
幼児(3~6歳) ¥1,000
シニア(60歳以上・要年齢証明) ¥1,300
障がい者手帳ご提示の方(本人および介助者1名まで) ¥1,100
夫婦50割引(要年齢証明)
※どちらかが50歳以上の場合、ご夫婦で2,600円でご鑑賞いただけます。
¥2,600
レイトショー(20時以降の上映回) ¥1,400
KBCシネマ会員サービスデー(毎週火・木曜日、会員限定) ¥1,200
レディースデイ(毎週水曜日、女性限定) ¥1,300
映画の日(毎月1日) ¥1,300
イイ映画の日(毎月11日) ¥1,300
ふたりデイ(毎月22日)※お二人様で2,600円でご鑑賞いただけます。 ¥1,300

※チケットのご購入にはクレジットカード(VISA、MasterCard)をご利用いただけます。

その他、パーキング・割引などの劇場情報詳細はこちら